やまと真空工業との共同開発により、銅合金蒸着マスクが完成しました。これまでの研究の中で明らかになった、新
型コロナウイルスに高い不活化効果を見出す銅合金を応用したものです。
このマスクは、わずか2分で99.9999%の不
活化効果を発揮することが出来ます。さらに、銅合金蒸着マスクは医療用クラスⅢの認定を取得しました。
これは、医療現場での使用において高い品質と性能が求められることを示しています。
医療用クラスⅢは、JIS T9001(医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法)が求める「微粒子や飛沫な
どの体内への侵入を防ぎ、空気中への飛散防止を目的とした医療用・一般用マスクについての規格」において、
捕集効率や通気性、安全・衛生項目などの規程をクリアした最上位のものになります。
医療用クラスⅢの認定を取得したことは銅合金蒸着マスクの信頼性と優れた性能を裏付けています。銅合金による新型コロナウイルスへの高い不活化効果と医療用クラスⅢ認定のマスク性能により、感染症の予防や拡大防止に効果を発揮すると思わ
れます。
銅合金蒸着マスクは医療従事者による使用だけでなく、一般の人々において同様の効果が期待されます。
私たちはやまと真空工業との協力を通じて、医療用クラスⅢの認定を取得した銅合金
蒸着マスクの開発に誇りを持っています。
引き続き、マスクの品質向上や快適性の改善に取り組みながら、より多くの人々の健康と安全を守るための製品開発に注力してまいります。
私たちはこの認定を受けた製品を提供する事で、医療従事者の安全と感染症の予防に
貢献できることを誇りに思います。そして、このマスクが一般の人々にも広く利用さ
れ、健康な社会づくりに寄与することを願っています。
・奈良医大の微生物感染症学講座( 矢野寿一教授、中野竜一准教授)は、これまでは新型コロナウイルス野生株やデルタ株に対する種々抗ウイルス素材の研究・開発を実施してきましたが、このたび新型コロナウイルスオミクロン株(BA.2系統)(以降、オミクロン株)の効率的な培養を行うと共に、オミクロン株のコロナ不活化評価にも対応できるようになりました。
・併せて、既に2021年12月10日に発表済みの、奈良医大とMBTコンソーシアム会員のやまと真空工業㈱が共同で開発した、銅合金を不織紙に真空蒸着したマスク素材(写真1)を用いて、オミクロン株の不活化評価を行った結果、従来の野生株・デルタ株同様に、1分で約1/1000 、2分で約1/100000と急速に不活化できたことを、2022年7月1日にメディア発表しました(図1)。
・6月21日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は、MBTロゴマーク の入った銅合金マスクを着けて記者会見をされました。
・銅合金マスクを商品化したやまと真空工業㈱はコロナ禍で実施された東京オリンピック・パラリンピックでのコロナ感染拡大予防に本マスク使用を橋本聖子会長にPRされており、その成果が表れたものと思われます。
プロフィール
奈良県立医科大学
微生物感染症学講座/
中野 竜一 准教授
[専門分野] 微生物学、分子遺伝学
[所属学会] 日本化学療法学会(評議員)
日本感染症学会
日本細菌学会
日本臨床微生物学会(評議員)